1990年代から2010年代にかけて最も拡大した産業は、IT業界でもパソコン製造業でもなく健康にまつわるビジネスです。

マイクロソフトのウインドウズ95が発売されて以来目覚しい発展を遂げてきたIT業界を差し置いて、実際は健康産業のほうがその経済規模を拡大しているというのは意外なことでしょうか。

しかし世の中をみてみると、無添加やオーガニックや特定保健用食品などの健康食品ブームがあり、街中には24時間営業のフィットネスジムが増えていたり、おなかに巻くだけで腹筋が6つに割れる器具のCMに世界的アスリートが起用されていたりします。

そのほかローカーボやローカロリーの食品が増えていたり、ビールは糖質やプリン体がゼロになってたりして、一部のマヨネーズやカップラーメンのカロリーは半分になりました。

デューク更家が一風変わった歩き方で大儲けしてみたり、外国人のブートキャンプが日本で広く展開されたり、タニタが食堂をやってたり、この30年ほどの間に発生した健康ブームは数えてもきりがないほどです。

ことほど左様に人は健康に関心を持っている。

これとは別に同じく20世紀の終わりにかけてエコロジームーブメントというものが発生しました。

エコロジーという言葉は本来生態系や生態学や自然環境などを表す言葉です。

我々人類が生活するに当たって、自然環境や生態系の維持に配慮して暮らしましょうという考え方です。

こちらは地球規模の話がメインになってきます。

フロンガスなどによって大気を覆うオゾンの層が破壊されたため地球に過度に紫外線が降り注ぐというオゾンホールの問題や、二酸化炭素が空気中に大量に広がって赤外線を吸収し地球全体の温度を押し上げてしまう温室効果など。

森林破壊や海洋汚染もそうですが、18世紀後半に始まった第一次産業革命以降急速に進んでしまった環境破壊について、20世紀終盤当たりになって、いよいよまずい状況ですよという問題提起がなされ始めたわけです。

これら地球全体に影響を及ぼす問題を我々人類で解決する必要がありますよ、ということを周知啓蒙していくのがエコロジー活動です。

これに基づいて開発された車の燃費は飛躍的に向上し、原動機がハイブリッドになったり燃料が化石燃料からバイオエタノール燃料になったりしつつあります。

工場などから出される排水も工場内で極力浄化するように義務付けられ、生産性を向上して稼働時間を短縮しつつ同じ生産量を上げるような努力をするなど様々な取り組みがなされています。

しまいには国同士で二酸化炭素の排出量を売買するというビジネスに発展するあたり、人間の業の深さを感じますね。

人類に任せている間は地球規模の問題を解決するのは無理だな、という気持ちになるのは悲観的過ぎるでしょうか。。。

それはともかく、奇しくも同じような時期にブームが始まった健康産業とエコロジー産業というものは本来その規模の点において全く趣が異なるものです。

健康産業が身近なものであるのに反してエコロジー産業はどこか遠くの偉い人が取り組んでいる話に聞こえる部分がある。

あたかも量子論と相対性理論のごとく、ミクロとマクロの理論というものは時に相容れない。

ところがこれが時に微妙にリンクしたりもします。

車で3分のところにあるコンビニに行くのに、たまには15分かけて歩いていけば排気ガスも出さず体にも良いですよというような話です。

身近なエコというやつですね。

地球の為に少し頑張った自分はちょっと偉い、というような誇らしい気分をたまには味わってみればいかがでしょうか?というような提案です。

けれども片道15分で往復30分はコンビに行くには時間がもったいないし、けっこう疲れる。

なので結局この手の健康活動ととエコロジー活動はあんまりリンクしない。

コンビニに行くのに30分歩くことはしないけれども、スポーツジムに行って前進するわけでもないのにペダルを漕ぎ続けるし、ベルトコンベアみたいなものの上を走り続ける。

あたかも輪っかのなかを全速力で走るハムスターのごとくに。。。

コンビニは日常生活でスポーツジムはレジャーで、そこは分けて考えてますってことですね。

わざわざスポーツジムまで来て、それなりのスポーツウエアを着て、最新っぽい器具で汗を流すのが楽しいしテンションも上がる。

そして楽しいのに健康に良いからさらに嬉しい。

これがジムに通う人たちの感覚なんじゃないでしょうか。

それに対して見えないところで地味に地球の役に立っているんだ!というという程度の自尊心のためにエコ活動を推奨しても中々拡散しないでしょう。

活動が地味すぎてテンションも上がらないし、楽しくて嬉しいこともないから。

多くの人はエコロジー活動は政府や大企業が国際会議なんかで話し合っている話題であって、自分たちの日常のちょっとした努力程度では効果も弱くてやる気が出ないと感じているように思います。

逆に言えば、エコロジー活動を行えば楽しいことがあってテンションも上がって自分にもお得な見返りがありますよ、というサービスが提供できればエコは拡散するでしょう。

そんなものあるかな。。。

スポーツジムで漕いでいるペダルの動力を使って発電すれば良いとか、そういう子供じみたアイデアしか浮かばないですねぇ。

ちなみに私自身は家で毎日食事を作るので、大根は葉っぱ付きを買ってきて葉っぱや剥いた皮などを全部捨てずに何らかの料理に利用するようにしています。

料理に使うテーブルコンロも18年前に購入した安物をずっと使っていて、火の着きが悪くなったら一度分解して各パーツを磨いたりして補修しながら使い続けています。

そう考えてみると、洗濯機も炊飯器もなんだかんだで18年以上使っています。

これをエコ活動だとは思っていませんし、とくに節約だとも思っていません。

当たり前のようにそういう風に暮らしてきたというだけです。

自分は機械が好きなので、テーブルコンロの補修でちょっとだけテンションが上がりますし楽しめます。

けれどもほとんどの人はそれを面倒に感じると思います。

このなかなか拡散しないエコロジー活動を商業ベースに乗せるためには、近年爆発的に伸びている健康産業のように「楽しいのにご褒美がもらえる嬉しさ」のようなものを追求しないと難しいのかなと思っています。

そもそも、「少しでも誰かの役に立ちたいから少しずつでもエコ活動を」などというペースでは追いつかないくらい、地球の環境破壊は進んでいるわけですし。。。