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東大阪繊維研究所では展示会をおこなっていません。

と偉そうに言うわけではなく、そもそも展示会を開催するほど多くのアイテムを作ることが出来ていないのです。

Tシャツのデザインを一型ずつ企画して、その素材となる糸作りから生地作り、型起こしなど順次納得いくまで作りこんで進めているので、スケジュールに締め切りのある展示会出展をベースに沢山の型数を企画していくということがそもそも出来ない。

ですので、これまでも一型ずつ物が出来上がるたびに発表している状態です。

締め切りを決めずにものづくりをしているので、時々半袖Tシャツが真冬に出来上がってきたりするのはご愛嬌。(笑)

こうやってアイテムを溜め込んでいって、ある程度まとまったらなにか企画展のようなものをやりたいなと思っています。

今のところ進行中の4型目も含め丸首ばかりを作っていますが、そろそろ違うものを作ろうということで次はVネックを企画しております。

生地の試作まで進んだものと、生地の試作で色々苦戦中のものが2つあり、片方は半袖のVネックでもう片方は七~八分丈のVネックになる予定です。

生地の試作まで進んだものについては色決めをして本生産用の糸を染めていくことになります。

ここもかなり悩むところで、企画スタートの段階である程度展開色は決めているものの、生地の出来上がりの感じを見た結果どうしても追加したい色が出てきたりします。

色決めで悩みに悩んだので息子に相談してアドバイスを求めたりしてまして、バーブーと厳しい意見をいわれながらどうにかこうにか最終決定を下していってます。

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もうひとつ進行中の生地作りに苦戦しているものというのは、糸の番手と編み機のゲージのマッチングについての問題です。

糸の番手、すなわち太さというものは一応数字で表記されるものです。

たとえば綿番手であれば30/2ECCという書き方をしまして、これは30番手の糸を2本撚糸しましたよという意味です。

番手のことを糸の太さと書きましたが、実はこれは厳密に言うと正しくはなく、表記上30/2ECCとなっているものでも糸によって太さはばらばらです。

たとえば英国羊毛など弾力があって膨らみのあるウールがブレンドされたコットンウールの30/2ECの糸と、超長綿といわれる繊維の細いコットンを強撚にした30/2ECCでは太さが全く違います。

同じ番手表記なのになぜ太さが違うのかといいますと、番手というのは糸の長さと重さの比率で決定するものだからです。

綿番手の場合一定の重さに対して長さが長いほど細番手になるという考え方で番手を表記します。

ちなみに毛番手はその逆の測り方をしていて同じ長さに対して重さが増えるほど番手が太くなるという考え方です。

このために綿番手と毛番手は表記がさかさまになる訳です。

綿番手30/2ECCは30番が2本撚りになっていて、毛番手の場合30番の2本撚りは2/30NMと表記します。

ややこしいですねぇ。

閑話休題、、、

糸というものは多くの繊維の収束体なので拡大すると繊維と繊維の間に隙間が沢山あります。

糸の隙間にあるものは空気なのでもちろん重さはありません。

(空気も窒素や酸素の分子を含んでいるのだから厳密に言えば重さがあるとかそういうのは無しでお願いします。。。)

なのでこの隙間が多ければ多いほど糸に膨らみがあって軽い糸になる訳です。

強撚糸などは繊維が締め付けられているので隙間の多い糸に比べて見かけの太さが断然細くなります。

そういったわけで、同じ30/2ECCと表記された糸でも糸の太さは様々です。

生地を編み立てる工場では30/2ECCの場合は何ゲージという風に基本的な組み合わせが決まっています。

けれども実際の糸のコンディションによってそのゲージがジャストではなかったりするので、糸に合わせて編みの度目を調節したり編み機を変えたりする必要が生じるわけです。

今回私たちが作った糸がまさにこれで、糸の形状が起伏に富んでいて通常のものよりも膨らみがあるので想定していたゲージに上手くはまらないのです。

この糸に対する適切なゲージや編み度目を見つけるために何度も試験をしているわけです。

この猛暑の中エアコンの無い工場で少し編んでは生地を洗って乾かしてを繰り返すのです。

苦戦というよりも苦行ですね。。。

そんなわけで、こうやってみんなで根気よく作業しながら一型ずつ少しずつですがアイテムを増やしていってます。

次の新作は今月末に出来上がる予定ですので、届いたらまたご報告いたします!